人は皆何かしらのクセを持っているものだ。
話しながら、アゴをさする、髪にさわる、あるいはペンを指で回す、
貧乏ゆすりをするといった、何気なくついやってしまうことが多い。
しかし、それが気になり出すと、ついつい目が行ってしまい、
時として集中できなくなる。しまいには無性に腹が立ってしまうこともある。
本人は無意識にやっているので(だから、クセなのだが)、
注意しても「えっ、そう?」てな感じでキョトンとしてしまうケースが多い。
マニュアルを校正しているときにも、文章のクセというものを見つけることがある。
やたらと接続詞を使う。例えば、「また」「それから」という文字がアチコチに出てくる。
別に「また」で続けなくても内容は完結しているのに、である。
やたらと体言止めで文章を終える、これもクセだろう。
「きれいに掃除」「作業をチェック」などと書く。
キャッチコピーとかタイトルならわかるが、作業の手順を書くところで、
こういう尻切れトンボの“文章”はやはりいただけない。
ここは、「きれいに掃除をします(する)」とか
「作業をしっかりチェックします(する)」というように書くべきところだ。
作成者の頭の中では、「~する」というように書いたつもりかもしれないが、
「掃除」「チェック」で終わってしまう。こういう“クセ”に出会うと、イライラする。
ある研修会でのことだが、靴を脱いでいる受講生がいた。
机の下で靴を脱ぐこと自体はそれほど珍しいことではない。
しかし、彼は足の裏を合わせて、スリスリをするのである。
妙に規則正しい間隔でスリスリを繰り返す。
机の下でする行為なので、他のメンバーの迷惑になるわけではない。音も立てない。
しかし、講師であるマニュアル屋さんには、丸見えなのである。これが気になった。
見ないようにしたのだが、やっぱり見てしまう。注意をすべきか悩んだ。
しかし、どう注意をする?
「スリスリは、気になるのでやめて下さい」
「でも、誰にも迷惑をかけていませんよ」
「(ムカッ)俺には迷惑をかけてんだー!」 といったやりとりを妄想しているうちに、
研修が終わってしまった。この日の研修会は、散々の出来だった。
会社に戻って、腹立ちまぎれに社員に言った。
「あー、今日はまいった。変な話だけど、クセにはまいるよ。
気になってしょうがなかった」
「マニュアル屋さんも、クセを直したらどうです?」
「えっ、何、どんなクセ?」
「“変な話だけど・・・”って言うクセ。別に変な話じゃないのに、よく言いますよ」
「えっ、ホント?」
「みんなイヤがってますよー」
変な話だけど、恥ずかしながら自分では全く気づかなかった。
あっ、使ってしまった。クワバワ、クワバラ。
気をつけよう、暗い夜道と変なクセ! オソマツ・・・
2011.11.24<No.83>






