ある会社で、拙著『成功したければマニュアルどおりにやりなさい』(実務教育出版)を
課題図書に指定し、社員にレポート(感想文)を提出させるということがあった。
ホントにありがたいことである。
過日、それを拝見することができた。
一人ひとりがA4用紙1枚にまとめた感想文が、実に30数名分。
それが入った封筒を渡されたときは、ワクワクドキドキした。
一刻も早く読みたいと、気もそぞろに家路を急いだ。
1枚1枚読みながら、とても感動した。
どれもが、真剣に本を読んでくれたことがよくわかる内容だった。
ふと、昔を思い出した。夏休みの前に必ず出る「読書感想文」という宿題。
課題図書も真剣に読まずに、休みが終わるギリギリのところで、
何とかでっち上げたものだ。
その“課題図書”に、まさか自分の書いたものがなるとは……感無量である。
これまで数冊の本を出したが、ブログなどの書評を除けば、
これほど多くの「感想文」を一度に読むのは、初めてのことだ。
正直、とてもうれしかった。
あらためて思ったことがある。
本当にいろんな見方・読み方があるということを。
本は、読者のもの。どう読もうがどう理解しようが、
その人の自由、勝手である。
振り返るまでもなく、マニュアル屋さんもそうだ。
いろいろな本を読んで、勝手にいい加減な評価をしてきたのだ。
自分の本だけはきちんと理解して読んでもらいたいなどとほざくのは、
傲慢であり、読者への媚びへつらいである。
でも、立場の違いをこれほどまでに、イヤッというほど強烈に意識できたのは、
初めての体験であり、驚きと感激の連続だった。
「どこを読んだら、そう思うわけ?」
「そんなこと、書いてないでしょ!」
「全然わかってない!」
「ちゃんと読んで書いてるのかよ!」
などと一人でツッコミを入れながら、1枚1枚に目を通した。
ムッときたり、ニヤニヤしたり、感激したり、と
傍で見ていたらきっと面白い百面相だったに違いない。
本当にうれしくありがたい体験であった。
マニュアル屋さんは、幸せ者である。
様々な感想の中で、うれしくありがたいものを幾つかあげてみたい。
「ネガティブだったマニュアルのイメージが大きく変わった」
「マニュアル=基本であり、いかに基本が大事だということがわかった」
「新・マニュアル人間になれるよう頑張りたい」
「自分マニュアルを作りたい」
そして、
「人生を変えるための、いい本に出会えました」
こんな過分な評価もいただいた。
拙著を読んだ若いビジネスパーソンの率直な言葉を、
マニュアル屋さんへの叱咤激励と受け止め、
これからも「マニュアル」を極めていきたい。心からそう願った。
そして、本を書いてきて本当に良かったー、と素直に思った。
感謝、感謝!
2015.08.27<No.173>