株式会社クオーレ

マニュアルの作成・活用・改訂

話を盛る

Posted on 1月 - 30 - 2020

これまで様々なマニュアルを作成してきたが、
その一つに成功事例をもとに構成する「成功事例マニュアル」というモノがある。
例えば、ある店舗や営業所が素晴らしい取り組みをして業績を挙げた。
それをマニュアルにして、全国にそのやり方を普及したい、といったことである。

こうした依頼・企画は、当然ながらその当事者への取材から始まる。
なぜ・どんな・どのような取り組みをしたのか、
そのポイントは何か、などを時系列で詳しく聞いていく。
まさに、質問攻めにするわけだが、
こうした質問に論理的に答えられる人は、まずいない。それはそうだと思う。
「成功の要因? ラッキーの一言です」
「無我夢中で頑張りましたから……」
「決めたことを一つひとつ徹底的にやりました」
「みんなの意見を聞いて、修正また修正の連続です」
「もう、最後はやるしかないとー」

当事者としては、そんな凄いことをしたとは思っていないのが、普通。
しかし、「結果」はマニュアルにならない。
結果に至るプロセスが、マニュアルになる。
そこで、さらに質問していく。
「無我夢中、ということですが、それはたとえば……」
「決めたこととは、どんなことですか?」
「修正を繰り返したとのことですが、たとえばどんな修正ですか?」
「チームをまとめるために、取り組んだことは?」
などなど。
こうしたやりとりを延々と繰り返して、取材が終了する。

実は、ここからが問題である。
マニュアルは、言うまでもなく全国ネットで通用する
もの、ノウハウでなければならない。
「川に船を浮かべて……」、川がないところはどうする?
「朝5時から打ち合わせをして……」、始業時間を5時からにする?
「全員夜中まで作業をしました」、労基法違反になる?
「何度も居酒屋でみんなと話し合いをしました」、居酒屋代はどうする?
などなど。
そこで、誰でもできるように、全国で通用するように、「話を盛る」。
一般的に、こうした成功事例の取材でマニュアルとして使えるものは、
全体の5割から6割程度。
これに1~2割の話を載せないと、使えるマニュアルにはならない。
だから、「話を盛る」。
もちろん、嘘は書けないから、
ときに当事者に連絡をして了解をもらうといったことが必要になる。
こうして、難産の末、成功事例マニュアルが完成する。

「自分たちの取り組みをこのようにまとめていただき、ありがたいです」
「こんなすごい活動をしたんだと、自分たちもビックリしています」
といった感想を寄せてくれたりもする。ありがたいことである。

しかし、実を言うと、マニュアル屋さんは「話を盛る」のが下手である。
以前、出版社の編集者に、
「もっと話を盛ってください。読者にわかりやすく……」
と何度もダメ出しを食らった。自分でも本当に下手だと思う。
「話の盛り方マニュアル」を作りたいと、今真剣に考えている。

あーぁ、毎日ホントにシンド!

2020.01.30<No.279>