株式会社クオーレ

マニュアルの作成・活用・改訂

良き伝統?

Posted on 2月 - 23 - 2017

代々の先輩たちが、工夫に工夫を重ねてきたノウハウ、秘訣、コツなどが、
様々な形で会社に残っている。その中には、こう言ってはなんだが、
あまり受け継いでもらっては困るようなものもあるだろう。
しかし、それらは良きにつけ悪しきにつけ
会社のDNAとして継承されているはずだ。
それらが、「マニュアル」という形式知になっていれば最高である。
それをタタキ台にして、時代や環境、お客様の変化に対応していく。
つまり、改良・改善していけばよいわけである。

もし、「マニュアル」という形になっていなくても、
「マニュアルづくり」に取り組むことで、それらは否応なく反映されることになる。
「こんな風に教えられた」「こうするんだと言われた」などなどは、
立派な?ノウハウの継承である。
そうして作成された「マニュアル」は、次代の人たちにとって
「先人の知恵の固まり」として大きく貢献することになる。
作成・活用・改訂のサイクルを回し続けるという
良きDNAを会社に残しておくことは、
現代を生きる私たちの大きな責任でもあるだろう。

ところで、思い出したことがある。
この受け継いできたものを「伝統」と呼んでいるが、
一般的にはそれなりの時間的経過をイメージすると思う。
「日本の伝統」などと言われれば、
古くから綿々と受け継がれてきたかのように思ってしまう。ところが、である。
ここ数年、中国人のマナーの悪さに関するニュースをよく目にする。
それに引き換え、「日本人は昔から礼儀正しかった……」などと
ちょっと誇らしげに振り返る、ことも多いのではないだろうか。

「(ホテルの)じゅうたんにツバを吐いたり、たばこを捨てて焦がしたり」
「ロビーのイスで足を開いて高イビキ」
さらに、
「銀座の歩道はゴミの山」
「割り込み乗車は当たり前」  などなど

実は、これらはすべて日本人がやったことだという。
(毎日新聞 2016年1月25日 夕刊「特集ワイド」)
記事によれば、東京五輪(1964年)の前は、
中国人を笑えないほど日本人のマナーは、ひどかったとのこと。
つまり、戦後から続く様々な取り組みによって、
今のマナーの良さがあるのだという。
ある社会心理学者は、「そうした過去を忘れ、今あるものを
『これが日本の伝統だ』、だから『日本人は昔から優れていた』と思い込むのは、
他国を見下す思想につながる危険性があると述べている。
「日本人の道徳・マナーは昔から優れていた」わけではないのである。

翻って、マニュアルである。
「何でもかんでもマニュアルにすることで、会社の良き伝統、
言葉にしづらいものが失われてしまう」と嘆く人がいるが、
よくよくその中身を吟味しておかないといけないと思う。
自分に都合の良い「部分的事実」だけを取り上げて「良き伝統」と言われては、
新しい時代に対応した改良・改善はおぼつかない。
それこそ、何も変えない「悪しき伝統」を作ってしまうことにもなるだろう。

マニュアルづくりは、本当に様々な問題を提起してくる。
マニュアルは深いものだとあらためて思う。だからこそ、やりがいがある。
気合いを入れて、これからも真摯に向き合っていきたいと思っている。

2017.02.23<No.209>