株式会社クオーレ

マニュアルの作成・活用・改訂

特殊な仕事、職人の技を必要とする仕事は、
「マニュアル」にならないのではなく、
「マニュアル」にしてこなかっただけだ、と前回この独り言に書いた。
はなから「マニュアル」にならないと思い込んでしまう、
「マニュアルにする」という発想さえ浮かべない。
本当にモッタイないことだと思う。
確かに、この種の「マニュアル化」は、パワーがかかる。
普通のマニュアルづくりの数倍、いや数十倍のパワーや時間がかかるのは事実である。
しかし、時間がかかっても「マニュアル」にはなるのだ。
そして、その成果は普通のマニュアルの比ではない。

いわゆる職人が働く、ある町工場のマニュアルをつくった。
シーンとした工場の中で、職人たちが黙々と仕事をしている。
寡黙な職人の群れが広がる静かな世界。
ここに、「マニュアル」という“異質”なものが持ち込まれた。
悪戦苦闘すること、しばし。
そして、職人の技は、「マニュアル」になった。
このマニュアルを使って、新人が作業をした。
職人曰く、「80点」と、その出来栄えを評価した。
この意味がわかるだろうか。
ブラックボックスの中でまったくわからなかった技を、
「マニュアル」という形に“見える化”することで、
新人でも80点の評価が得られたのである。
この事実に、当の職人たちが驚いた。
「マニュアルになるんだー!」と。
もし、これが勝負だったら、言うまでもなく「マニュアル」の勝ちである。
よくやったー!マニュアル。

今、日本は少子高齢化の時代に突入している。
職人が活躍する世界は、言わずと知れず高齢者の方が圧倒的に多い。
そのせいか、失われていく伝統技術も多いと聞く。
このままでは、日本が世界に誇るモノづくりの技術は
衰退の一途をたどってしまう。それは本当にモッタイないし残念でもある。
そこで、ぜひ「マニュアル化」を国策として推進できないものか。
「日本のモノづくりは、マニュアルから」
マニュアル化することによって、職人の技はさらに磨かれる。
なぜなら、マニュアルはタタキ台としての重要な役割を持っているからだ。
マニュアルを見ながら職人たちが喧々諤々の話し合いをし、
さらに新しい技を付け加えていく。
若い職人さんも、具体的な形になっているから、意見が言いやすい。
こうして、伝統の技が磨かれ、継承されていくことになるのだ。
「マニュアル」は、立派にその役割を果たすことができるだろう。

「マニュアルに、もっと光を!」
早くしないと、マニュアル屋さんは高齢者の仲間入りをしてしまう。
その前に、ぜひとも「技のマニュアル化」をすこしでも多く手がけたいと
心から思っている。

2015.05.28<No.167>