株式会社クオーレ

マニュアルの作成・活用・改訂

目 線

Posted on 1月 - 31 - 2019

「それは思いっきり上から目線の発言だね!」
マニュアルの原稿を検討しているとき、ある人の発言に対して、
他のメンバーから声がかかった。
当の本人は意味が分からず、キョトンとしていたが……。

マニュアルづくりは、管理職かその道のベテランが作成メンバーになることがほとんど。
昨日今日入社した新人は、必要なノウハウを持ち合わせていないのだから、
作れという方が無理である。
「皆さんが新人のときを思い出して、具体的に作成してください」
マニュアルは、新人が読んでも理解できるように具体的に作成することが求められる。
だから、作成者にはそうお願いするわけだが、これがなかなか難しい。
今当たり前のようにやっている仕事について、一度立ち止まって考える。
その仕事の棚卸しと作業(行動)の分解が必要になる。
これをしっかりやらないと、精度が高いマニュアルができないのだ。

「これぐらいはできるだろう」
「これは、できて当然!」
「こんなことまで作成するわけ?」
といった、まさに“上から目線”の発言が続出する。
「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ではないが、
自分が新人時代に苦労したことなどどこ吹く風状態。
しかし、ここに落とし穴がある。
“できて当たり前”のことが、実はメンバー間でバラバラということがよくあるのだ。
アウトプットは同じでも、そのプロセスが人によって違う。
だから、かかる時間もまちまち。一般的には、単純な作業ほど、この傾向が強い。
しっかりした基準がないから、先輩の真似や自己流で習得した結果が、
やり方の違いを生み出してしまう。

ある会社で、「情報をまとめる」という項目では、
Excel、Word、PPTとそれぞれが勝手なソフトで対応していた。
また、「情報を収集する」という項目では、店舗、工場、販売部など、
これも人によって聞くところが違う。
たぶん、教えてくれた人のやり方を真似たものと思われるが、
何が・どれが正しいのか、まったくわからない。
この会社では、高度な業務まで“自己流”で行われていた。
そして、「これを良し」とする文化、暗黙の了解が続いていたのである。

マニュアルづくりは、これまでの仕事を見直し、一番良いやり方に統一するという取り組みだ。
つまり、みんながどんなやり方をしているのかを、事細かくあぶりださなければ始まらない。
だから、
「これぐらい」
「こんなことまで」
といった言葉は、禁句である。
“上から目線”ではなく、新人と同じ目線で仕事を見直すことで、気づくことも多い。
マニュアルづくりの面白さは、
「へぇ、そんなやり方でやっていたんだ!」
「そんなやり方、全然知らなかった!」
「確かにこっちのやり方の方が早いし、正確だな」
といった発見、気づきを得る良い機会にもなることだ。

“当たり前をしっかり追求する”ことが、マニュアルづくりの“はじめの一歩”である。

2019.01.31<No.255>