株式会社クオーレ

マニュアルの作成・活用・改訂

棚卸し

Posted on 7月 - 14 - 2016

マニュアルの原稿を書くということは、
今やっている仕事を振り返ることから始まる。
つまり、自分の仕事を“棚卸し”するわけだ。
そうすると、色々なことに気づく、気づかされる。
一番代表的なのは、「結構、イイ加減にやっている」ということかもしれない。
言葉は悪いが、その場その場のやりくりで何とか“こなしている”という事実だ。

営業であれ人事部門であれ、基本的なこと、
例えば、見積書を作成する、伝票を書くといったことをしているわけだが、
“なぜ、何のために、どのように”や、作成のポイント・留意点を追求されると、
ハタと困る、戸惑ってしまう。
「あれっ、どうやっているんだっけ?」
「えーと、はじめに相手の名前を書いて……」
非常に心もとなくなる。
「もう少し具体的な手順になりませんか?」
などと、マニュアル屋さんに言われると、
「そうは言っても、お客さんによって、みんな違いますから……」
「なぜって、これまでそうしてきましたから……」
言い分は色々あるだろう。そこで、マニュアル屋さんは言う。
「今回のマニュアルづくりで、そこらへんの曖昧なところや
慣例でやってきたものをはっきりさせませんか? 良い機会だと思いますよ」
そう言われて、皆渋々従う。マニュアルづくりの“定番”のやりとりである。

いつもやっている仕事にしっかり向き合って、
「なぜそうしているのか?」などと考えることは、普通しない。
忙しいということもあるし、別に問題なくそれなりに進んでいるのだから、
取り立ててどうこうする必要は感じていない。
……マニュアル屋さんも、しかり、である。
これまでの様々な経験が、うまくいく仕事の術を身につけさせてくれた。
だから、「具体的に説明しろ!」と言われても困る。
正直に言えば、イヤである。「何でこんなことをするのか」ということになる。

曖昧なことを、具体的にする。
混沌としているものを、整理する。
何となくやっていたものを、明確にする。

暗黙知を形式知にする、マニュアルという“形”に文章化する。
これは苦痛を伴う作業であるが、あたらしい発見も多い。
苦しんだだけの見返りもある。
「そうか! 自分がやっていたことは、こういうことなんだ」
「つまり、3つのステップでやっているわけか」
内心、「ヤッター!」という気持ちになる。
「ヘェー、案外しっかり考えてやっているんだ」
大げさに言えば、自分を褒めたくなる。

棚卸しという「自分の仕事の見える化」は、
必要なこととは頭でわかっていても、実際にはなかなかできない。
それが、マニュアルづくりという「強制的な取り組み」で
やらざるを得ない状況に追い込まれてしまう。
だから、マニュアルづくりを、
自分の仕事ときちんと向き合う良い機会だと捉えてもらいたい。
この経験は、ここで学んだことは、これからのビジネス人生で必ず役に立つ。
マニュアル屋さんは、そう確信している。

社員から突っ込みが入った。
「これ、もう一度じっくり読んでください」
「何?」
「今月の独り言、棚卸し、です」
「何言いたいの?」
「これが一番必要なのは、マニュアル屋さんです!」
「いや、ちょっと今忙しくて……。……はい(シュン)……」

あーぁ、毎日ホントにシンド!

2016.07.14<No.194>