株式会社クオーレ

マニュアルの作成・活用・改訂

ムッとされて、ナンボ

Posted on 12月 - 11 - 2014

マニュアル作成には、言うまでもなく取材(ヒアリング)がつきものである。
この取材、最初は全体的なことや仕事の大まかな流れなどを聞いていく。
この段階では、相手も興味を持って話を聞いてくれるし、質問にも丁寧に答えてくれる。
帰るときには、「お仕事、大変ですね」といった優しい言葉をかけてくれたりもする。
ところが、各論に移る、つまり、仕事の一つ一つをこと細かく聞いていくと、
徐々に表情が変化してくる。

「なるほど、それは具体的にどのようにするんですか?」
「お客様によって、みんなやり方が違います」
「でも、基本的なやり方というものはありませんか?」
「わかりますけど、一つには決められませんよ」
「いや、そこを具体的にしなければ、誰でもできるようにはなりませんよ」
「そこまでマニュアルに入れなくてもいいんじゃないですか?」
「いや、ここはあった方が良いと思います」
「ムリですよ。マニュアルにはなりませんよ」
「申し訳ないですが、そこを何とか具体的にできませんか?」
「……(ムッとした表情)」
相手は露骨にイヤな顔をする。こうした押し問答が延々と続く。
相手が根負けするか、こちらが引くまで続く。

普段何気なくやっている仕事について、それは右手が先か左手が先なのかといった、
実に細かいことを質問する。
今まで考えてもいなかったことを、「それはなぜですか?」としつこく追求する。
嫌がられて当たり前である。
マニュアル屋さんが質問を受ける立場だったら、同じように思うだろう。
こうした取材を通して、第1稿ができあがる。
そうなると、またあらたな疑問が出てきて、質問する。
「またですか」
とあきれられても、くい下がる。
しまいには、
「もうカンベンして下さいよ」
と泣きがはいったりする。

ホントに因果な商売である。慣れているとはいえ、やはり、つらい。心が痛む。
しかし、この取材の深さによって、マニュアルのデキが大きく変わってくる。
だから、こちらも簡単には引けない。
だから、雨雪が降ろうが、イヤな顔をされようが、聞くべきことは、しっかり聞く。
ある意味、イヤがられて、ムッとされて、ナンボの世界である。
これが、マニュアル屋さんの仕事であるのだ。

「マニュアル屋さん、なぐられる。あまりにしつこい取材に怒った相手が……」
といったニュースにいつかなるのではないかと、実はヒヤヒヤである。
気をつけよう、暗い夜道としつこい取材。クワバラクワバラ。

2014.12.11<No.156>