株式会社クオーレ

マニュアルの作成・活用・改訂

マニュアル考 再び

Posted on 4月 - 27 - 2017

マニュアルに求められる「具体性」とは何か。
マニュアルを読んで同じようにできるという「再現性」。
これがマニュアルの肝(きも)である。
この「再現性」を確かなものにするためには、「具体性」が非常に重要になる。
この「具体性」とは、「箇条書きでまとめる」といった類いのことではもちろんない。
それは、右手・左手、秒・分、㎜・㎝といったレベルで捉えること、
つまり、「細部にこだわる」「作業分解する」という2つのことが必要になるということだ。
これが、求められる「具体性」の中身である。

のっけから堅い話で恐縮だが、実は気になることが新聞に載っていた。
昨年の秋頃からメディアを賑わしていた「まとめサイト」の記事の
信ぴょう性を疑う問題に対する報告書が発表された。
その中に、「マニュアルは作っていたが、具体的な指示がマニュアルにはない」、
また「具体的なマニュアルが必要だ」と指摘している点である。
言葉尻を捕らえるわけではないが、「具体的な」という表現にいささか違和感を覚えた。

マニュアル屋さんは、マニュアル=具体的として捉えている。
つまり、「具体的でない」マニュアルはマニュアルではないと思っているのだ。
それは、いわゆる「読み物」の類いである。
先に上げたように、「具体性」はマニュアルの生命線である。
これなくして「マニュアル」と呼んではいけないとさえ思う。
しかし、一般的にはそれなりの「手順」や注意点が書いてあれば
「マニュアル」としてOKなのだろう。
いや、むしろほとんどの人がそう思っているかもしれない。

ちょっと古いが、食中毒事件を起こしたある企業の製造管理マニュアルには、
「緊急時には、状況を適切に判断し、合理的な行動をとるように……」
云々と書いてあったそうだ。「緊急時」にそんなことができるのか。
どうも言葉の使い方が“適切”ではないように思う。
ちなみにマニュアル屋さんは、マニュアルの中で使ってはいけない言葉として
「適切、合理的、的確」などを挙げている。

ところで、「具体性」が重要なのはわかるが、
どこまで具体的にすれば良いのか、という疑問も当然出てくるだろう。
たとえば、「窓をキレイに拭く」で終わっているマニュアルと
「キレイな拭き方」までを書いてあるマニュアルとでは、
どちらが誰がやっても同じように「キレイに」拭けるだろうか。
言わずもがなである。
抽象的なことをできる限り「具体的にする」こと、細部にこだわり、
作業分解することを積極的に追求してほしい。
そして、何よりも
「このマニュアルを読んで、同じように期待する作業(行動)ができるかどうか」を
常にマニュアル作成者は自問自答してほしいと思っている。

冒頭に挙げた記事を読んで、「具体性」がマニュアルには必須だということを、
もっともっと多くの人に知らせていかなければならないとあらためて思った次第である。

マニュアルは、本当に深い。
「ありの~ままで~いいの~♪」
「何がありのままだ!」という声が聞こえてくるが、実は抽象性?も大好きなマニュアル屋さん。
これからも長生きしてがんばろっと!

2017.04.27<No.213>