株式会社クオーレ

マニュアルの作成・活用・改訂

マニュアル屋さんは格闘家?

Posted on 6月 - 25 - 2015

企業の担当者が作成したマニュアル原稿を、マニュアル屋さんとこでチェックする。
表記方法に問題はないか、必要な要素は書き込まれているか、
といった基本事項はもちろんのことだが、何といっても重要なことは、
内容のチェックである。そのチェックのポイントは、
①  読んでわかるか
②  同じようにできるか
の大きく二つ。
しかし、このためには、論理性と具体性の二つが要求される。
これがなかなか難しい。

作成者はいつもやっている仕事を、「マニュアル」という形に落とし込む。
だから、書き方に慣れてくると、すごいスピードで原稿を書き上げてくる人もいるくらいだ。
ここに、落とし穴がある。
当たり前にやっている仕事である。そこに“疑問”を挟む余地はあまりない。
それが我流であれ何であれ、いつもしている仕事のやり方に疑問を持っていたら、
仕事は進まない。もっともなことである。そこで、
「一度立ち止まって、自分の仕事のやり方がこれで良いのか振り返って書いてください」
「新人が読んでもわかるように書いてください」
とお願いをする。しつこくお願いをする。
しかし、出てきたものは??である。

最大の問題は、「これぐらいはわかるだろう」という思い込みと、
「つい、いつものようにやってしまう」という慣れだ。
例えば、作成者の頭の中では、
「あれとこれをこう確認する」ということをイメージしているのだが、
原稿では「~を確認する」で終わってしまう。
何をどのようにするのかがスポッと抜けてしまう。
これでは、読んでもわからないし、同じようにはできない。
だから、チェックを入れる。「何をどのように確認するのですか?」と。
こうした「何を・どのように」というチェックが一番多い。
この指摘をすると、次の原稿では具体的に記入されてくる。
当たり前だが、実際にやっているわけだからそれを書けば良いわけだ。
ただ、「大丈夫です。何回かやっていれば、そのうちできますから」という回答が多いのも、
この質問の特徴である。ここで引き下がると、マニュアルにする意味がない。
そこで、「そのうちではなく、すぐにできる」ためにはどうするか。
もっと作業を分解してほしいとお願いをする。
ここでの押し問答が、大げさに言えば「マニュアルの精度」を決めてしまう。
一番嫌がられる場面である。でも、粘る。(最近は粘りが弱いとの陰口もあり)

こうした指摘を繰り返し、その作業の全体や流れが
マニュアル屋さんに具体的に見えてくると、次の段階に進む。
つまり、このやり方で良いのか、という疑問である。
「無駄な動きが多いのでは?」「この二つは一緒にできるのでは?」
「Aという作業とBという作業は、どうもつじつまが合わない」などなど。
これらは、中にいてはなかなか見えないことである。
しかし、マニュアル屋さんは部外者で且つど素人だから、率直に疑問を口にする。
すると、「う~ん、確かに言われてみれば……」となる場合が多い。
もちろん、そのほとんどは、“いやーな”顔をされてのことだが……。
誰しもこれまで自分がやってきたやり方を批判されてうれしいはずがない。
しかし、それを指摘するのがマニュアル屋さんの仕事である。
ホントに嫌われ役である。
されど、こうした指摘から大きく業務改善が進んでいくことが多いのもまた事実。
だから、原稿チェックは気が抜けない。集中力と気力の勝負である。

日々マニュアルと、まさに格闘を続けていると、
ホントにコイツは手ごわいと思う。大きな壁のように立ちはだかってくる。
必死でムチを打たないと、前に進んでいかない。
マニュアル屋さんとこのスタッフには、
へこたれないように毎日栄養ドリンクを飲んでいる(それも強いのを)奴もいるくらいだ。
悪戦苦闘の世界。これが、マニュアル屋さんとこの仕事である。

2015.06.25<No.169>