株式会社クオーレ

マニュアルの作成・活用・改訂

「おもてなし」もカタチから

Posted on 7月 - 23 - 2015

2020年東京オリンピックの招致活動で、
一躍世界的に有名になった「お・も・て・な・し」。
日本が世界に誇る「おもてなし」、これが日本のサービスだ! などなど
今、注目を浴びている。これに関する書物や記事もよく目にする。
「おもてなし」を受ける立場からすれば、これは喜ばしいことだ。
レストランやホテルなどで、スタッフの心無い対応で
不愉快な思いをしたことがある人なら、よくわかることだろう。
「おもてなし」、大歓迎。
この文化が広まることは、本当にうれしいと思っている。

ただ、こうした風潮の中で若干気になることがある。
それは、相手に喜んでもらう“こころ”、相手をもてなす“こころ”など、
“こころ”にスポットライトが当たっていることだ。
つまり、「おもてなし」をする側の“こころ”が
必要以上にクローズアップされている。
もちろん、“こころ”は重要である。
しかし、この“こころ”をいかに身につけるかということについては、
あまり語られていないと思う。そこがいささか不満である。
マニュアルを通して、“身につける”ことに
これまで携わってきたマニュアル屋さんとしては、
いささか残念である。

“こころ”は、そう簡単には身につけられないものだ。
だから、身につけるためには、それなりの仕組みを必要とする。
どんな対応が相手に喜んでもらえる、
「おもてなし」を受けたと感じてもらえるのか。
ここを深く掘り下げていくと、様々な具体的な行動が見えてくる。
たとえば、
「お客様を、○○様と個人名で呼ぶ」
「こちらから積極的にお声がけをする。暑く(寒く)ありませんか? など」
「お客様から何か話しかけられたら、元気よく“はい”と笑顔で答える」
そして、これらを個人目標にして、1日に1回は必ず実践する。
こうしたちょっとした行動の積み重ねが、
相手に「おもてなし」されているという気持ちを持っていただくことにつながる。
そうして、相手に喜んでいただく、相手に感謝していただくと、
こちら側もうれしくなり、もっと喜んでいただこうという“こころ”が芽生えてくる。
つまり、「おもてなし」は、ちょっとした具体的な行動の積み重ねで
身につけられていくということになる。
だから、「おもてなし」を身につけさせようとするなら、
まずは具体的な行動=カタチから教えるべきであり、
そこから始めることが、結果的に“こころ”の習得の近道なのである。

「仏作って、魂入れず」という諺がある。
これは物事の一番重要なことが欠けていることのたとえだが、
マニュアル屋さんは、こう考えている。
「“仏”というカタチを作らなければ、“魂”は入れられない」
初めに、カタチありき、である。
カタチを作り上げることが、重要な中身を入れる最初の一歩になるということだ。

「おもてなし」も、カタチから。そこから、始めたい。

2015.07.23<No.171>